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フィクションなのかノンフィクションなのか... 想いが織り成すストーリーの世界
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掲載作品の紹介
●空色...愛色...(現在掲載中)
●愛色の彼方 (現在掲載中)

両作品共に、主人公の名前は同じですがストーリとしては全く別物です。
それぞれの世界が織り成す淡く切ない物語をどうぞお楽しみください。
プロフィール
HN:
葵 膤璃
性別:
女性
自己紹介:
Aoi Tuyuri
恋愛体質
本物の愛を探し求めて彷徨い続けています
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月曜の朝
私は久し振りに出勤する

いつもよりかなり早い時間にオフィスに着く
1週間も休んでしまったから、少し早く来て掃除などをしようと思ったのだ

給湯室でお湯を沸かそうとしていると背後に気配を感じた
私は何気なく振り向くとそこには久美さんが立っていた

私の胸は高鳴る

「おはよう」

久美さんはいつもと変わらない笑顔を私に向けた

「おはようございます!」

私は大きく直角にお辞儀をする

「どうやら、この休みで少しは何か抜け出したみたいね」

久美さんは私からポットを取り上げると水を入れながら私に言った

「はい・・・お陰様で。本当にご迷惑をおかけしました・・・」

私は棚からティーパックを取り出しながら久美さんの横に並んで頭を下げた

「良いのよ。誰にだってそういう時はあるし、私も若い頃はあったしね」

そう言って久美さんは笑う

「本当ですか?私にとって久美さんは何だか・・・完璧でそういう経験ないんじゃないかって勝手に思っちゃいます」

私は、作業の手を休め久美さんを見る

「私だって、若い頃は失敗ばかりで本当にどうしようも無かったよ。仕事より恋愛って感じだったし」

久美さんはちょっと懐かしむ様な表情をする

「えっ!久美さんがですか!!」

私は思わず大きな声を出す

「そうよ〜若い頃ってそうじゃない。仕事でバリバリ働くより結婚して好きな人と一緒にいたい〜って思うのよね」

久美さんはポットをセットをしながら私を見る

「私ね、丁度玲ちゃんくらいの時に大失恋したのよ」

何気なく久美さんは過去を語り始めた

「同じ職場の人で、7つ年上でね。私は大好きだったから結婚も考えていて」

「その彼とは結婚しなかったんですか・・・?」

「うん、そうなの。彼ね・・・会社の社長の娘とあっという間に婚約して結婚しちゃったんだよね」

「え・・・」

久美さんは少し俯き加減に淋しそうに微笑む

「ど・・・どうしてですか?久美さんがいたのに??」

「社長の娘が彼を一目見て気に入ったみたいで、彼もきっと私を選ぶより自分にとって良いと思ったんだと思う。私はあっさり振られちゃって、半年後に婚約して1年後には結婚しちゃった」

「・・・酷い・・・」

私は何だかその彼が憎く思える

「人間、みんな自分が大切だから仕方ないのよ。私も別れてもそこの会社で1年頑張ったけど・・・無理で辞めちゃったの。傷つくのがやっぱり辛くて逃げたのね」

「私だったら、すぐ辞めてます・・・」

私は久美さんを見る

「それからは、人が変わった様に仕事頑張った。新しい会社で、男相手に張り合ってがむしゃらに働いた。その結果が今なんだけれどもね」

久美さんは屈託無く笑う

「気が付いたら、もう誰かに甘える方法を忘れちゃってて・・・仕事しか残ってなかったんだけれども・・・」

「でも、私はずっと入社当時から久美さんの事憧れてましたよ」

「ありがとう。彼と別れて選んだ今も、あの時あのまま彼と結婚していた未来も・・・どっちが幸せなんて選べないと思うのよ。どっちにもそれぞれの幸せと不幸があったと思うし。後悔するなら、胸を張って前に進む道を私は選んだだけなのよね」

久美さんの言葉は今の私にとって奥が深いモノだった

みんなどんなに輝いている人にも辛い過去のひとつはあるんだな・・・

そう考えてみると、私が今こんなにグタグタしているのは恥ずかしい事の様に思えて来る



私は自分のディスクに戻ると、PCを立ち上げて早速仕事を始める
何か閃いた気分だった
それを一気に形にしていく

夢中でキーボードを打っていると頬に温かい感触が触れた

「ひゃっ」

私はビックリして飛び跳ねる
振り返ると缶コーヒーを手にした秀君が今にも噴出しそうな顔で立っていた

「・・・戸田!今の超〜ウケる!」

そう言ってお腹を抱えて笑う
私は缶コーヒーを受け取りながら苦笑いを浮かべる

「おはよう」

気を取り直した秀君は、席に着くと少し照れ臭そうに挨拶をする
今まで普通に毎朝交わしていた挨拶
だけど、何かが今までとちょっと違ってくすぐったい

2人の間にだけ流れる、何か特別な空気
それが妙にドキドキする

私・・・秀君を好きになれるかな

秀君がくれる温かい気持ちは確実に私の心に染み込んで行く様な感覚を感じていた
誰かが自分を想ってくれる事が、こんなに満たされた気持ちになる

あんなにささくれ立っていた心が、不思議と少しずつ潤って行くのを私は確かに感じていた

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