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フィクションなのかノンフィクションなのか... 想いが織り成すストーリーの世界
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掲載作品の紹介
●空色...愛色...(現在掲載中)
●愛色の彼方 (現在掲載中)

両作品共に、主人公の名前は同じですがストーリとしては全く別物です。
それぞれの世界が織り成す淡く切ない物語をどうぞお楽しみください。
プロフィール
HN:
葵 膤璃
性別:
女性
自己紹介:
Aoi Tuyuri
恋愛体質
本物の愛を探し求めて彷徨い続けています
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クリスマスを境に私と秀君の距離は一気に縮まった
それまで、見え隠れしていた蟠りの様なモノも消えていた

本当にどこから見ても普通の恋人同士という感じだ

それ以来、私は秀君の前で悟の影を出す事は無かった

それでも悟を完全に忘れる事は不可能ではあったが、秀君の努力もあって悟の事を考えない時間が少しだけ増えた様にも思える

とにかく飽きる程、私達は一緒に過ごした
時間さえ作れればデートを重ねた

気が付けば早いモノで、私達は付き合って6ヶ月を迎えた

もうずっと長い事一緒にいたかの様な安心感


そんなある日、眠りについていた私は秀君に急に呼び出された
それも、深夜2時を過ぎている

車で迎えに来てくれた秀君は、私は助手席に乗せると走り出す

私達を乗せた車は、そのまま高速を駆け抜けていく

秀君は普段と違って口数が少ない
行き先を尋ねても答えてくれなかった


程なくして車はとある場所で止まった

「降りよう」

秀君に促されるまま私も車を降りる

まだ辺りは暗い
降り立った場所は高台になっていて、街を一望出来る

私達は暫く雑談をしていた

すると暫くして向こう側の空が明るくなり始める

そして、次第に空が明るさを取り戻すと共に希望が差し込むかの様に太陽が顔を出し始めた
その光景は、まさに圧巻
神秘的な光景に見えた


「綺麗・・・」

私は思わず独り言の様に呟く

「綺麗だろ?・・・ここ俺の秘密の場所なんだ」

秀君は嬉しそうに笑う

「俺、悩んだり辛い事あるとひとりで車飛ばしてここで朝日を見て帰るのが習慣でさ、いつかここの朝日を玲に見せてやりたいって思っていたんだ」

朝日に照らされた秀君の笑顔はいつも以上にとても眩しかった

「凄く感動した・・・こんな場所があるなんて知らなかったよ」

私は昇る太陽を見つめる


暫くふたりは無言のままその光景を見入っていた

「玲、今日は何の日か覚えてる?」

不意に秀君が私に問いかける

「え?何か記念日だっけ?」

私はビックリして秀君を見る

「やっぱり覚えてないか〜俺達が始めて逢った日だよ」

秀君は照れ臭そうに笑って答えた

「え?そうだっけ??」

「そう、ほら入社前に3日間事前研修があっただろ?あの時初めて逢ったんだよ」

私は過去の記憶を辿る

「俺達知り合ってもう4年になるんだよな」

感慨深そうに秀君は呟く

「そうだねぇ、何か年を取るのもあっという間って感じだよね」

私と秀君は目を合わせると同時に笑う

「・・・玲」

そして、秀君は私の方へ身体を向けると急に真面目な表情になる

「何?」

私も秀君へ身体を向けて向い合う

「俺達、付き合って半年だよな」

「うん」

「俺、玲の事愛してるよ」

秀君は私を真っ直ぐに見据える

「俺、これからも玲と一緒にいたい。隣りで笑っていて欲しい」

そう言って秀君はポケットから小さな箱を取り出し私に差し出す
私はその箱を受け取ると、箱を開ける

そこには、華奢で品のある俗に言うエンゲージリングと呼ばれるであろう指輪が入っていた
私はビックリして秀君を見る

「・・・一生大切にするから。玲の辛い想いは俺に半分分けて欲しいと思うし、玲が嬉しいと思う事は一緒に喜びたい・・・だから、俺と結婚して欲しい」

今までに見た事もないくらい真剣な表情の秀君

私は驚きのあまりに言葉が出てこない

まさか、プロポーズをされるとは夢にも思っていなかった
純粋に嬉しい・・・

だけど、こんな時に限って私の中に悟が現れる
そして、悟のプロポーズの言葉を思い出す

『玲、俺といつか結婚しよう。過去にも未来にも俺が心から愛するのは玲だから、玲以外考えられない』


あの時の悟と今目の前にいる秀君が重なる


私は、秀君を見つめる

その瞬間、私の手首からブレスレットが外れて地面に落ちる
私はハッと地面を見下ろす

淡いピンクの天然石で作られたお気に入りのブレスレット
悟と付き合い始めた日に、幸せを願って自分で購入したモノだった

私はしゃがんでブレスレットを拾い上げる
ブレスレットは綺麗に切れていた

これは幸せのお告げだろうか
幸せを目の前にお役目が終わったと言いたいのだろうか


私は暫くブレスレットを眺めてから静かに立ち上がる


そして、私はもう一度秀君を真っ直ぐ見つめる


「秀君の隣りに私をいさせてください」

私は静かに・・・けれどもはっきりと秀君のプロポーズに対して、私の答えを伝える

暫くの沈黙
ようやく現実の事だと自覚をしたのか、秀君は込み上げてくる喜びを隠せないと言わんばかりに私を抱き締める

「俺、絶対幸せにするから!」

秀君はそう何度も私に誓う

「うん、私も秀君を幸せにするよ」

秀君は私の顔をまじまじと見つめて笑顔で頷く
そして、指輪を手に取ると私の左の薬指へはめた

エンゲージリングが私の薬指で静かに輝く

私達はもう一度見つめ合う


「玲、幸せになろうな」

秀君はそう言って強く私に唇を重ねた


きっと秀君となら私は幸せになれるだろう
私は秀君を愛している
きっとこの気持ちに嘘はない

私は絶対、秀君と幸せになる

そう心の中で私は強く誓った

幸せの扉を開く決意をした私達を静かに温かく朝日は照らしていた
優しい光の中で私達は未来を誓い合った
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