忍者ブログ
フィクションなのかノンフィクションなのか... 想いが織り成すストーリーの世界
| Admin | Write | Comment |
掲載作品の紹介
●空色...愛色...(現在掲載中)
●愛色の彼方 (現在掲載中)

両作品共に、主人公の名前は同じですがストーリとしては全く別物です。
それぞれの世界が織り成す淡く切ない物語をどうぞお楽しみください。
プロフィール
HN:
葵 膤璃
性別:
女性
自己紹介:
Aoi Tuyuri
恋愛体質
本物の愛を探し求めて彷徨い続けています
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
カウンター
最新CM
[05/19 物書きネット]
最新TB
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

私は目を覚ます

外はもう明るい
時計を見ると針は9時を指していた

私を包む様に眠る秀君の微かな寝息が聞こえる

もう・・・朝か・・・

私は暫くぼんやりとした頭で、秀君の温もりを感じながら天井を見上げる
そして、秀君を起こさない様に私は静かにベッドの抜け出すとバスルームへ向かった


熱めのシャワーを頭から浴びる
次第に意識もはっきりしてくる

私は、鏡に映る自分を見た

胸元には無数の愛の証が刻まれている
私は胸元に視線を落としその愛の証を指でなぞる

急に昨晩の事が、映画のダイジェスト版の様に蘇って来て私は頬を赤らめた

身体にはまだ昨晩の余韻がはっきりと残っている

いつも明るくて優しい秀君
だけれども昨晩はそんな秀君とは違う男としての秀君がそこにいた
しかし、そこに荒々しさや強引さは無く穏やかさと優しさが私を包んだ
私に触れる秀君の指先や唇は、まるで壊れやすいモノを扱うかの様に丁寧で温かかった


私は、シャワーを浴び終えると部屋着に着替える
テーブルには昨晩の為に作った料理が手を付けられる事なく並んでいた

そしてその横に無造作に投げ出された悟の写真集・・・

私は拾い上げると、暫くその写真集を見つめる

いつまで私はこんな事を繰り返すのだろう
大切にしてくれる人を傷つけて

悟は自分の人生を歩いているんだよね
私の知らない悟の時間がどんどん増えていく
そして、悟の知らない私の時間も・・・

私は、悟の写真集を本棚の奥へしまう

もう、私達は戻れない
時間の流れは自分が思っている以上に早いのかもしれない


私はキッチンへ向うと、コーヒーを入れ始める
暫くすると、コーヒーの香ばしい香りが部屋中に広がる

寝室に戻ると、私は手際良く秀君のスーツを拾い上げハンガーにかけ再びキッチンへ戻った

暫くして、コーヒーの香ばしい香りに釣られるかの様に秀君が起きて来た

少し眠そうに起きて来た秀君はコーヒーを入れている私を背後から抱き締める

「・・・おはよう」

寝起きのせいかいつもよりも低く少し擦れた声で秀君は私の耳元で囁く

「おはよう、コーヒー入ってるよ」

私はコーヒーカップにコーヒーを注ぎ込む

「ん・・・玲・・・」

「ん??」

「俺、昨晩の事は後悔してないから・・・だから玲にも謝らない」

背後から抱き締めたまま秀君はそう言うと私から身体を離す
私は何も答えずコーヒーを手渡と、テーブルの椅子に腰をかけた

私は秀君の横顔をぼんやりと見つめる

この人は何て強いのだろう
強くて優しい・・・
私は秀君に愛されて幸せなんだろう

私は解っているの
秀君ならきっと私を一生大切にしてくれるって事も
素直に秀君を好きになれたらどんなに良いのだろう

もし、私が悟と付き合う前に秀君と付き合っていたら・・・私は悟を想う様に秀君を愛していたのだろうか

「秀君・・・」

「ん??何?」

秀君は私へ視線を向ける

「秀君は私の事をずっと見ていてくれたって言ったけれども、何で私なの?」

「え??」

私の突然の質問に秀君は目を丸くする

「だって、人を好きになるって何かキッカケがあるでしょ?単純に何だったのかなって思って」

私は秀君の表情を覗き込む
そんな私から少し視線を逸らして秀君は困った様に笑って見せる

「最初は、よく笑う奴だな〜って純粋にそう思ったんだよね」

秀君はその当時を回想するかの様に天井を見上げる

「それから何となく玲の笑顔を見ると癒されている自分がいて・・・玲の笑顔を見たら何か悩んでてもちっぽけに思える様になってさ」

思いもよらない秀君の言葉に私は顔が火照る・・・

「ほら、俺がいきなり大きい仕事を担当する羽目になった時があっただろ?本当にしんどくてさ・・・でも、その仕事が成功した時、真っ先に俺以上に喜んでくれたのが玲でさ・・・あの時に『あぁ、俺コイツに惚れてんだな』って自覚した」

秀君はそう言うと恥ずかしそうに私に背を向ける

私はその背中を見つめながら込み上げてくる笑みを必死で堪える

そう誰かが思ってくれるって何だか不思議だ
自分が知らない所で、自分を見てくれている

何だか、私はそんな秀君に愛しさが込み上げてくる
恥ずかしい様な・・・くすぐったい様な・・・
凄く抱き締めたい気分

こんなに愛されていてやっぱり私は幸せなんだな・・・

私は昨日よりも断然秀君への想いが大きくなるのを感じていた


「そんな事より・・・食べようぜ!折角玲が作ってくれたのに昨日食べれなかったから」

その場の恥ずかしい空気を必死で消すかの様に秀君は振り返ると、並んでいる料理を見る

「うん、そうだね」

私は立ち上がると秀君の前に立つ
そして、秀君を思いっ切り抱き締める

突然の事に、少しビックリしている秀君を他所に私は秀君の耳元で囁いた


「私を離さないでね」



本当に心から私はその時素直にそう想った

PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
COMMENT:
PASS: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[22] [21] [20] [19] [18] [17] [16] [15] [14] [13] [12]

Copyright c 空色...愛色...。。All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog / Material By 御伽草子 / Template by カキゴオリ☆
忍者ブログ [PR]