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フィクションなのかノンフィクションなのか... 想いが織り成すストーリーの世界
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掲載作品の紹介
●空色...愛色...(現在掲載中)
●愛色の彼方 (現在掲載中)

両作品共に、主人公の名前は同じですがストーリとしては全く別物です。
それぞれの世界が織り成す淡く切ない物語をどうぞお楽しみください。
プロフィール
HN:
葵 膤璃
性別:
女性
自己紹介:
Aoi Tuyuri
恋愛体質
本物の愛を探し求めて彷徨い続けています
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私達の関係は良好だった
絵に描いた様な幸せ

私と秀君は着実に同じ道を歩き始めている

この幸せが永遠に続く事を毎晩眠る前に祈るのが私の習慣となっていた


季節は移り変わり
早いものでもう6月

私達の結婚式が1週間後に迫っていた

周りの動きも慌しくなる

私と秀君は結婚式を挙げてから一緒に暮らす事になっていた
私の引越しの準備も着々と進んでいる

とにかく毎日が目まぐるしく回っていた


私は手早く引越しの準備を済ませ、残りの時間を実家で過ごそうと思っていた
一人娘だった私は、両親にとても愛されて育った
だからこそ、嫁ぐ前に親孝行を少しだけしたいと思ったのだ


荷物がまとめられた部屋は、思った以上に広々としていた

すっきりした部屋を見回す

「後は業者さんに運び出して貰うだけだね」

そう呟くとボストンバッグをひとつ抱えて、玄関を出る


郵便受けの前を通りかかった私は、念の為に中を確認をした
重要なモノは全て新しい住所へ変更はしたけれども、何か忘れているモノがあるかもしれないと思ったのだ


中を覗くと1通の白い封筒が入っていた

「誰からだろう・・・」

私は白い封筒を取り出す

差出人の名前がない

不思議に思った私は、その場で封を切った
中には1枚の便箋

私は便箋を開いて息を呑んだ

そこには几帳面な字で文章が書かれていた

『直接会って話したい事があります。
 6月12日の日曜日13時、ガーデンパークの噴水で待っています   高木』


そう記されていた


ガーデンパークは悟の自宅からすぐ近くの公園だった

高木・・・って悟??

私は膝が震える

今更、どうしたのだろうか・・・
逢って何を話す?
何の話だろうか?

しかも、指定されたその日は私の秀君の結婚式の日だった


私は暫く便箋を見つめたまま立ち尽くす


別れの本当の理由が解るのだろうか?

やっぱり私の事を好きだと言ってくれるのだろうか?


ううん、悟は自分が言った事を簡単に覆す人ではない
だったら、今更何の意味があるのだろう


悟にもう一度逢いたかった

でも・・・

私は秀君と結婚をする
一緒に永遠の愛を誓う

私、秀君が好きよ・・・
ずっと一緒にいたいと思う

秀君を裏切りたくない

そう、私は秀君と一緒に生きていくって決めたの
秀君の笑顔を守るって決めた

きっと私、悟に逢ったら揺れてしまう

もう思い出にしないといけない・・・
私の為にも秀君の為にも・・・


私はその日に秀君と愛を誓う
そして、ずっと秀君だけを見ていこうと決めたの

私の選択は間違ってない?

うん、間違ってないよね


なのに何故?
何故、私は泣いてるの??

何で涙が止まらないの??



解らない・・・
解らない・・・


でも、もう悟とは逢えない


私は別の幸せを選択してしまったから

もう、戻る事は出来ない
引き返す事はもう出来ない


私は、便箋をクシャクシャに丸める


私・・・行かない

私は、正面玄関に備え付けられているゴミ箱へ便箋を押し込んだ


私、新しい道を進む・・・
だから、行かない・・・


私は長年住みなれたアパートを後にする


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