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フィクションなのかノンフィクションなのか... 想いが織り成すストーリーの世界
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掲載作品の紹介
●空色...愛色...(現在掲載中)
●愛色の彼方 (現在掲載中)

両作品共に、主人公の名前は同じですがストーリとしては全く別物です。
それぞれの世界が織り成す淡く切ない物語をどうぞお楽しみください。
プロフィール
HN:
葵 膤璃
性別:
女性
自己紹介:
Aoi Tuyuri
恋愛体質
本物の愛を探し求めて彷徨い続けています
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私達は、6月のジューンブライドに挙式をする事にした

あの日から私達の時間が慌しく過ぎていく

プロポーズから数日後に、両家の挨拶をした
私の両親も秀君の両親も大喜びをしてくれ、和気藹々とした雰囲気で執り行われた
秀君の両親は、とても明るく笑顔が絶えない
私の両親も秀君の誠実さを気に入った様子だった

こうして私達は晴れて正式に婚約した

ミユキにも報告をすると、私以上に喜んでくれ

会社にも結婚の報告をすると、スタッフ全員が驚きと共に、快く祝福をしてくれた


私達はすぐに式場を探し準備に取り掛かった

全てが順調に進んでいく
目が回るほど、毎日が忙しかった

式の打ち合わせ、衣装合わせなどをこなしつつ仕事もこなす
それと同時に私達は一緒に住む家も探す



式の内容もほぼ決まり、一緒に暮らす部屋も見つかった

2LDKの間取りの新築マンション
日当たりも良く、ベランダからの見通しも良い
駅からも徒歩5分と言う好条件の物件だ
ニュータウンと謳っているだけあって、ニューファミリー層が多い
環境整備された綺麗な公園など、子供を育てるにはとても良い環境が揃っている
秀君は少し気が早いけれども、子育てのしやすそうな街という点でとても気に入っていた

しかし、私は時々フッと思う

こんなにトントン拍子に進んでしまって良いのだろうか
あまりに幸せなシナリオの上を歩いている様で不安になる
何も問題がないに越した事はない
なのに、何故か不安はどこかにいつもあって拭いきれずにいた



私は、ひとり会社の屋上へ来てぼんやりとビルの軍団を見下ろす
たまにこうしてひとりになりたくなる
ひとりになって、何か色々と考えたくなるのだ

後1ヶ月後には私は秀君と結婚をする

結婚後も子供が出来るまでは仕事をしたいという私の希望を秀君は理解してくれていた

いつも優しい秀君
きっと良い旦那さんや良いパパになるんだろうな

子供が出来たら、どっちに似てるんだろう
女の子かな男の子かな
秀君は女の子が良いって言っていたけれども、男の子も可愛い気がする

目前に迫っている未来設計図

なのに何故だろう・・・どこか他人事に思える時がある


私は小さく溜息をついた


「何溜息ついてるの」

次の瞬間、誰かに声をかけられて私はビックリして振り返る
そこには、久美さんが笑顔で立っていた

「あ・・・久美さん。いえ、何か色々忙しいな〜って思って」

私ははぐらかす様に笑って見せた

「そうね、結婚となると色々準備もあるだろうし環境も変わるからそれなりに大変よね」

久美さんはそう言うと私の隣りに並ぶ
暫く私達は言葉を交わす事なく空を眺めていた


「・・・安藤は良い奴よ、良い男だと思う。中身が温かい奴よね」

久美さんはポツリと私に言った

「きっと良い夫になると思う。・・・でもさ、自分にだけは嘘ついちゃ駄目よ」

久美さんの一言に私は視線を久美さんへ向ける

「人間って幸せになれるって思ってもその道へ進めない時ってあるのよね。あえて波乱な道を選んじゃったり・・・でも私はそう言う生き方も良いと思うのよ」

私は何も言葉を返せずに久美さんをただ見つめる

「迷いが生じたら、とことん自分と向き合いなさい。幸せにして貰うんじゃなくて、アナタが幸せに自分をするのだから・・・自分の心には正直になりなさいね。それが誰かを傷つける結果となったとしても必ず理解をしてくれる人がいるから、自分を見失わないで最後まで自分と向き合い続ける事が大切だと思うわ」

久美さんはそう言って私に微笑みかけると、屋上から出て行った

何だか久美さんに心の中を見透かされた気がして恥ずかしくなる


幸せだと思っているのに
このまま幸せが続けば良いのにって思っているのに

心のどこかで、それを受け入れられない自分がどこかにいる

そっちの道じゃないと私を呼び止める

秀君に不満はない
本当に優しくて良い人
私は純粋に秀君が好き

なのに・・・何か魚の骨の様なモノが引っかかっている感じがするのだ

もう引き返せないのに、私はどこかでまだ迷っていた

もう後1ヵ月後に式は迫っている


私は決めたの・・・秀君と幸せになる未来を
そう、私は今最高に幸せよ・・・

私は心の中でそう何度も呟いた


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