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フィクションなのかノンフィクションなのか... 想いが織り成すストーリーの世界
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掲載作品の紹介
●空色...愛色...(現在掲載中)
●愛色の彼方 (現在掲載中)

両作品共に、主人公の名前は同じですがストーリとしては全く別物です。
それぞれの世界が織り成す淡く切ない物語をどうぞお楽しみください。
プロフィール
HN:
葵 膤璃
性別:
女性
自己紹介:
Aoi Tuyuri
恋愛体質
本物の愛を探し求めて彷徨い続けています
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その夜私は、ベッドでひとり横になって天井を見つめながら何度も溜息をついた

久美さんの言葉が胸に突き刺さる
私、このまま仕事外されちゃうのかな・・・
そう思うと溜息が止まらない

斬新な切り口・・・
私はどんな発想を今までしていたのだろう
それすら自分の事なのに思い出せない

私はベッド横のミラーを手に取ると自分を映した

希望の欠片もない表情が鏡越しに見える
私はまたひとつ溜息をついた

「溜息の数だけ幸せって逃げるんだよね・・・」

私はミラーをベッド下に放り投げて呟く

そして私はフッと悟の事を考える
声が聞きたい・・・

私は鞄から携帯を取り出すと悟のアドレスを開いた

ここ1ヶ月、私は悟に連絡を取っていなかった
いつまでも迷惑はかけられないと思って、連絡を取らずにいた

通話ボタンを押す指が震える・・・

心なしか鼓動も早くなった

昔は躊躇いもなくコールしていたのに・・・

私は通話ボタンを押して携帯を耳に押し当てる


―お客様がおかけになった電話は・・・


無機質な女性の声が流れた


え??


私はビックリして携帯を耳から離す
そしてもう一度コールをした


―お客様が・・・

同じアナウンスが流れる


どういう事・・・??

私は状況が飲み込めず呆然と携帯を見つめる

暫くの沈黙
私は血の気が引いていくのが解った
初めて本当に悟に拒絶された様な気持ちだった

携帯を・・・変えた??

私と連絡を取るのが本当は嫌だったのだろうか
仕事柄、携帯の番号は変えられないって言っていたのに??

それとも・・・新しい・・・

私はいても立ってもいられなくなって家を飛び出した

そのままタクシーを拾うと、悟の自宅まで飛ばす


逢ってどうするの?
また傷つきたいの?

様々な不安が駆け巡っても衝動を止める事が出来なかった


私はタクシーの料金を支払うと足早に悟のアパートへ向った

部屋の前まで来ると、鼓動は破裂しそうなくらい早くなる

手の震えが止まらない
喉がカラカラに渇いている気がした

呼吸を整えて私は震える指先でインターフォンのチャイムを鳴らす

ピンポーン・・・


反応がない
まだ仕事なのだろうか・・・

私はドアをノックする


ドンドン

やはり反応は返って来なかった

私は悟の部屋の前にしゃがみ込む

今夜はどうしても悟に逢いたかった・・・

例え拒絶されようとも・・・


秋風が身体に染みる
動揺して自宅を飛び出したせいで、上着を着ていなかった

寒い・・・

震える身体をさすりながら悟の帰りを待つ


暫くすると誰かがこっちへ向ってくる気配がした

悟・・・!!

そう思って顔を上げると、悟の隣りの部屋に住むOL風の女性が不思議そうな顔でこちらを見ていた


・・・悟じゃない

私は肩を落とすと彼女から視線を落とす

すると、その女性が声をかけてきた

「・・・すみません、お隣りに何か御用ですか??」

私はビックリして再び視線を彼女に戻す

「あ・・・はい・・・ちょっと」

私は、しどろもどろに返事をする


「・・・高木さんですよね?彼なら確か1ヶ月前くらいに出ていかれましたよ」

彼女の一言にビックリして目を見開く

「え・・・引っ越した?どこにですか?」

「どこかは解らないですけれども、1ヶ月前に引越しの業者が来て作業してましたよ・・・その時偶然高木さんをお見かけして挨拶をしたんですけど特に何も言ってなかったですね。確か・・・高木さんの彼女さんでしたよね??」

ただならぬ状況を感じたのか、その彼女は心配そうに私の顔を覗き込む

「まぁ・・・」

私は曖昧な返事を返すと、軽くお礼を言ってその場を後にした


携帯も変えて・・・引越しもして・・・


本当に私の事が嫌だったのかもしれない・・・
私はそう確信した

仕事が忙しい事を理由にして私から離れたかった・・・?
どうして?

私は溢れてくる涙を抑える事が出来なかった

こんなに拒絶されているのに・・・
私は少しも彼に幻滅する事も嫌いになる事も出来ない・・・

こんなにも愛しくて愛している・・・


だけれども・・・それはもう彼に届かない


もう、彼の人生の中に私は綺麗に抹消されてしまうのだ・・・


私は、遠くに見えるネオンを見つめ立ち尽くし続けた

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